「宇宙戦艦ヤマト」関連裁判の和解最終更新日: 2010/11/08 |
「ヤマト」関連の裁判について、これまでにわかった和解内容をまとめました。 裁判の判決や、裁判にかんする報道などの資料についてはそれぞれのページをご覧ください。 |
■ PSソフト裁判の和解 ■経緯プレイステーション向け「ヤマト」ゲームソフトが著作者人格権を侵害するかどうかをめぐって、西崎義展氏とバンダイ・バンダイビジュアル・東北新社の3社が争ってました。 第一審判決ではバンダイ他が勝訴しました。 これに西崎氏が控訴していたけど、2004年5月28日に西崎氏側の控訴取り下げによる和解が成立しました。 # つまり、時間的順序でいえば著作者裁判の和解が10ヶ月早い 概略和解が成立したことは2004年7月12日付けのエナジオのニュースリリースで公にされました。 これからは次のことがわかります。
それ以上の詳しいことは不明です。 今のところ完全な和解内容は公表されていないようです。 影響「復活篇」制作はすぐに新聞記事にもなりました。 ところが、その数日後にはこの制作発表の信憑性を疑問視する記事も出ました。 これによると、東北新社はまだエナジオと協議をしている段階であり、制作を許諾してはいない、とのこと。 しかし少なくともなんらかの調整作業はやっていることは確認できました。 なお、エナジオのニュースリリースから約1ヶ月後に出た東北新社のニュースリリースでは、この和解にも「復活篇」にもビタイチ触れてませんでした。 ただ、この東北新社のニュースリリースで触れられているPS2用のソフトは、西崎氏との係争によって発売が延期になったと思われていたものです。 それが発売されたのは、恐らく和解を受けてのことだったのでしょう。 5年以上経った2009年12月に「復活篇」が公開にこぎつけたのは周知の通りです。 東北新社は共同制作に名を連ねてます。 |
エナジオのニュースリリースが和解の内容をどれだけ正確に伝えてるのかはわかりません。 しかし他に公表されている情報源は見当たらないので、さしあたりこれをもとに考えてみます。
西崎氏の「控訴取り下げ」と書いてるから、裁判外の和解?
しかしその一方で「和解調書」(裁判上の和解で作る文書で、確定判決と同等の効力を持つ)という言葉を使ってます。
“裁判外”なのか“裁判上”なのか、ちょっとよくわかりません。 次に、和解条件の「公表しても反意を唱えない」について。 この条件を字義通りに解釈すれば、これによって確認された西崎氏の権利は、本来の著作者人格権よりもかなり小さいものです。 次の二つを比べてみましょう。
後者では3社が西崎氏を著作者と認めるということですから、必然的に西崎氏が3社に対して著作者人格権(に相当する権利)を行使することを許容することになるでしょう。 しかし、「公表しても反意を唱えない」を字義通りに解釈するなら、この条件は前者であって後者ではありません。 つまりこの条件は、西崎氏が3社に対して何らかの権利を行使できるわけではない、と読めるわけです。 もちろん、エナジオのニュースリリースが正確ではない可能性はあります。 ただ、西崎氏側であるエナジオが、あえて西崎氏の権利を過小に発表する理由はないでしょう。 それを考えると、この和解で西崎氏が確保した権利はたかだかその程度だ、という推測が成り立ちます。 一方で、この記述がもし正しいならば、3社は西崎氏が著作者であるかもしれないことは否定していないことも読み取れます。 もし「西崎氏はやっぱり著作者じゃないよね」という話になったのであれば、当然ながらそれ以後は西崎氏が著作者であることを主張できるわけがありません。 逆に「西崎氏はやっぱり著作者だよね」という話になったのであれば、「反意を唱えない」などという奥歯にモノがはさまったような記述は不自然です。 要するに、この和解では西崎氏が著作者であるかどうかはあいまいにされたということでしょう。 これは、著作者を明らかにするところまで踏み込んだ判断をしないという第一審判決を単に踏襲しただけかもしれません(“裁判上の和解”であったのなら十分考えられます)し、あるいは、あいまいにしておくことが3社および西崎氏の双方ともに丸く収まる解決であった、ということかもしれません。 |
■ 著作者裁判の和解 ■経緯「ヤマト」著作者の立場を巡って西崎義展・松本零士の両氏が争ってました。 第一審判決では西崎氏が勝訴しました。 これに松本氏が控訴していたけど、2003年7月29日に両者が訴えを取り下げて裁判外の和解が成立しました。 概略
詳しくは“和解書”の全文から知ることができます。 |
西崎・松本両氏間の訴訟において焦点だった「どちらが『ヤマト』の原作者・著作者か」に対しては「西崎・松本両氏ともが著作者である」という答えが与えられました。 これによって両氏は、互いに相手から異論をさしはさまれる心配をすることなく、世間に向けて「自分が『ヤマト』の著作者だ」と説明ができるようになったわけです。 ただしこれは“裁判外の和解”であるため、いわば両氏間の私的な約束事に過ぎません。 西崎氏が行使できるという著作者人格権は、両氏間の約束に参加していない第三者に対して、果たして有効なのでしょうか? それはまだわかりません。 そういう意味では「著作者が誰であるかはまだ確認されてない」と考えざるを得ないと思います。 他にも、この和解にはちょっと奇妙に思えるところもあります。 詳しくは「ヤマト」著作者裁判の和解に。 |
戻る |