著作権にかんする判例集

最終更新日: 2005/10/10

マジメな判例集はそれ専門のWebサイトで探してもらうとして (^^;
ここでは、読みやすそうで、かつ「ヤマト」裁判を眺める上で参考になるかもしれない判例を、シュミ的に集めてみました。

Under construction.

まだ自分用メモのレベル。 採用基準テキトー、順番テキトー。 各リンクの下に書いたコメントには誤解があるかも。 でもとりあえずまあいいかなってことで公開。

Memo

判例を見るとよくわかることなど、いくつか。 このページにも著作権一般のページにも書くつもりはあるんだけど、まだ手がまわってない。 この機会にちょいと書いとこうかなっと。 “早くちゃんとしたページにする”というプレッシャーを自分自身にかける意味でも(笑)

  • 同一性保持権の“同一性”とは“創作的な表現の同一性”のことであって、紙やフィルムなどメディアレベルでの同一性のことではない。(これは結構誤解してる人が多いっぽい。)だから例えばパクリは、パクリであるがゆえに同一性があり、パクリであるがゆえに同一性保持権を侵害する。
  • 同一性保持権の侵害には、その改変の様態は問わない。でも人格的に害を与えるような改変のほうが重い。「やむをえない改変」の場合はもちろんセーフ。また、著作者が改変に対して同意したことが著作権譲渡契約などから推定できるような場合は、よほどのことがない限りセーフ。
  • 著作者人格権は、3つの権利の他にも、著作権法第113条で規定される権利をも含む。第5項は名誉権と呼ばれる。また、著作者人格権以外にも修正増減権(第82条)、絶版請求権(第84条)がある。
  • 第15条(職務上の著作)は、外注の場合、つまり同じ法人でないような場合は適用されない。著作者は外注先になる。また著作権の帰属は外注のときの契約にしたがう。(ここでいう「法人」は著作権法独自の定義なので要注意なんだけど。)
  • 第15条によって法人著作の場合、法人が解散した時点で著作者人格権は完全消滅。(著作者が自然人でなおかつ故人になった場合は、故人の著作者人格権を守るための権利を遺族が持つけど、著作者が法人の場合にはそのような規定はない。)
  • 映画の著作物はいろいろ扱いが違うので要注意。著作者人格権は「全体の形成に創作的に寄与した人」(普通は監督)のもの、でも著作権は製作者・製作会社のもの。(なお、第15条に該当する場合は、それは第16条に優先するから、著作者は法人になる。)著作権の期限は、著作者の死亡から50年ではなく、公表から50年。(これも結構誤解してる人が多いっぽい。)
  • アニメ作品において、図柄の著作権は作品の著作権と一体であるとは限らない。

■ 「超時空要塞マクロス」著作権 ■

H15. 1.20 東京地裁 平成13(ワ)6447 著作権 民事訴訟事件
平成13年(ワ)第6447号著作権確認等請求事件

著作者は総監督、しかし映画の著作物について著作権の帰属を定めた著作権法29条にしたがって、著作権は原告(竜の子プロ)へ。

■ 「超時空要塞マクロス」キャラデザ著作権 ■

H14. 2.25 東京地裁 平成13(ワ)1844 著作権 民事訴訟事件
平成13年(ワ)第1844号 著作権確認等請求事件

H14.10. 2 東京高裁 平成14(ネ)1911 著作権 民事訴訟事件
平成14年(ネ)第1911号 著作権確認等請求控訴事件

1.外注した仕事の著作権は自動的には発注元のものにはならない。
2.作品の著作権と図柄の著作権は別物。

■ 「ゴーマニズム宣言」 ■

H11. 8.31 東京地裁 平成09(ワ)27869 著作権 民事訴訟事件
平成九年(ワ)第二七八六九号 著作権侵害差止等請求事件

H12. 4.25 東京高裁 平成11(ネ)4783 著作権 民事訴訟事件
平成一一年(ネ)第四七八三号 著作権侵害差止等請求控訴事件

1.「適法な引用」として、複製権の侵害は認められなかった。
2.一カットを除けば「やむをえない改変」として、同一性保持権の侵害は認められなかった。
3.一カットだけ「やむをえない改変」があったとして、同一性保持権の侵害が認められた。

最高裁判所 H16. 7.15 第一小法廷・判決
平成15(受)1793、1794 謝罪広告等請求事件

これは著作権ではなく名誉毀損に対する謝罪請求についての裁判なんだけど、一応続いてるから参考までに。 小林氏は「脱ゴーマニズム宣言」の著者を「ドロボー」と呼んだ。 しかし、裁判では複製権侵害は認められなかったからこれは真実ではない、ということは名誉毀損にあたるのでは? (“事実の摘示”による名誉毀損が免責されるには、その事実が真実であることの証明が必要だから) この問いに対して「名誉毀損にはあたらない」という答えを出したのがこの判決で、一番肝心なところだけを引用すると、

【要旨】法的な見解の表明それ自体は,それが判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,そのことを理由に事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表明に当たるものというべきである。

つまり「あいつはドロボーだ(=複製権を侵害した)」は“事実の摘示”ではなく“意見・論評”であるということ。 んで

ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば,その故意又は過失は否定される

つまり“意見・論評”そのものには真実であることの証明は必要なくて、その“意見・論評”の前提になっている事実の重要な部分について真実と信じるだけのレッキとした理由があればよい。

■ 「心霊(サイキック)」 ■

H 7. 7.31 東京地裁 平成04(ワ)5194 著作権 民事訴訟事件

H10. 7.13 東京高裁 平成07(ネ)3529 著作権 民事訴訟事件

ある映画に対してビデオ化やテレビ放映のためにトリミングやCM挿入をしたことについて、同一性保持権侵害が争点の一つになった。

■ 「どこまでも行こう」 ■

H12. 2.18 東京地裁 平成10(ワ)17119等 著作権 民事訴訟事件
平成一〇年(ワ)第一七一一九号 損害賠償請求事件
同年(ワ)第二一一八四号 著作権確認請求反訴事件
同年(ワ)第二一二八五号 損害賠償請求事件

H14. 9. 6 東京高裁 平成12(ネ)1516 著作権 民事訴訟事件
平成12年(ネ)第1516号 各損害賠償請求本訴、著作権確認請求反訴控訴事件

わりと有名なんで一応。

■ 「ときめきメモリアル」メモリカード ■

H 9.11.27 大阪地裁 平成08(ワ)12221 著作権 民事訴訟事件

わりと有名なんで一応。

■ 「ときめきメモリアル」続編18禁ビデオ ■

H11. 8.30 東京地裁 平成10(ワ)15575 著作権 民事訴訟事件
平成一〇年(ワ)第一五五七五号 著作権侵害差止等請求事件

1.勝手にキャラを複製・翻案したので著作権侵害。
2.キャラを改変したので同一性保持権侵害。
3.キャラをエロキャラに改変したので“悪質な”同一性保持権侵害。

■ 「タイガーマスク」続編 ■

東京地裁平成5年(ヨ)第2538号著作権侵害差止仮処分申請事件

独自のストーリーとキャラからなる続編だったけど、翻案権の侵害。

■ 小児歯科学の教科書 ■

H14. 7.16 東京高裁 平成14(ネ)1254 著作権 民事訴訟事件
平成14年(ネ)第1254号 謝罪広告等請求控訴事件

同一性保持権の侵害はとられたが、その利用の仕方にかんしては「名誉・声望を害する利用行為」とはされなかった。

■ 「パックマン」パクリ ■

H 6. 1.31 東京地裁 平成04(ワ)19495 著作権 民事訴訟事件

「パックマン」のパクリゲーは著作権と著作者人格権の侵害。

■ 「妻たちはガラスの靴を脱ぐ」 ■

H 5. 8.30 東京地裁 昭和63(ワ)6004 著作権 民事訴訟事件

H 8. 4.16 東京高裁 平成05(ネ)3610等 著作権 民事訴訟事件

書籍を無断でTVドラマ化したために、翻案権および同一性保持権の侵害に。

■ 「キャンディ・キャンディ」 ■

H11. 2.25 東京地裁 平成09(ワ)19444 著作権 民事訴訟事件

H12. 3.30 東京高裁 平成11(ネ)1602 著作権 民事訴訟事件
平成一一年(ネ)第一六〇二号 出版差止等請求控訴事件

H12. 5.25 東京地裁 平成11(ワ)8471 著作権 民事訴訟事件
平成一一年(ワ)第八四七一号 著作権損害賠償請求事件

H12.10.17 東京地裁 平成12(ワ)9551 著作権 民事訴訟事件
平成一二年(ワ)第九五五一号 著作権販売差止請求事件

H12.12.26 東京地裁 平成11(ワ)20712 著作権 民事訴訟事件
平成一一年(ワ)第二〇七一二号 著作権損害賠償請求事件

H14. 5.30 東京地裁 平成11(ワ)20392 著作権 民事訴訟事件
平成11年(ワ)第20392号 損害賠償請求事件

Yahoo! Japan - 政治 > 法 > 裁判 > 個々の事例 > キャンディ・キャンディ著作権裁判

すごく有名なんで一応。

■ 大河ドラマ「春の波涛」 ■

H 6. 7.29 名古屋地裁 昭和60(ワ)4087 著作権 民事訴訟事件

わりと有名なんで一応。

■ 「サザエさん」電車 ■

S51. 5.26 東京地裁 昭和46(ワ)151 著作権 民事訴訟事件

わりと有名なんで一応。

■ 「ポパイ」 ■

H 4. 5.14 東京高裁 平成02(ネ)734等 著作権 民事訴訟事件

わりと有名だったよーな気がするので一応。

■ ライダーマン ■

S52.11.14 東京地裁 昭和49(ワ)5415 著作権 民事訴訟事件

有名かどうか知らないけど一応。

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