青の炎

最終更新日: 2003/05/24

■ まえがき ■

「青の炎」とは、2003年3月に公開された劇場用映画です。 主役は嵐の二宮和也。 クラスメート(恋人?)役で松浦亜弥。

見たすぐに感想を書きかけて途中で放置してたのに、 あとであいまいな記憶に頼って書き足して仕上げた。 だもんで、ところどころ妙なこと書いてるかもしんまい。

■ 青の炎 ■

青春蹉跌映画の特殊ケースバージョンて感じ。 よかったといえばよかった。 けど、感動したかとか共感したかっつーと、そこはビミョー。 “好きな人は好きだろね”ってのがオレ的評価。

主人公のぶつかった“壁”にある程度の普遍性があれば、 観客はそこに自分自身との共通点を見出して共感する。 あるいは、疑似体験できるぐらいのリアリティがあれば、 観客は主人公に感情移入する。 感動できる映画って、大体そういうもんだと思うんだけどね。 この映画にはそういうとこがあんまし感じられなかったんだよね、 オレ的にはね。 単にオレの青春がノーテンキだっただけれすかねー。

つーかね、 二宮くん演じるこの映画の主人公、割とサクサク行動しちまうんだよねー。 「うっわキミ若いのに決断力あるねー」って感じ。 もうちょい主人公の苦悩を丁寧に描いてくれたほうがよかった。 “ギリギリまで悩んでギリギリの決断をする”っていうギリギリ感が不足。

あとやっぱし、“まわりの大人はあてにならない”ってとこの描写も不足。 あんな闖入者が現れた場合、法律ではどうしようもないってことなら、 具体的にどんなふうにどうしようもないのかをきっちり検討して見せてほしい。 弁護士に頼ってもダメなら、どんなふうにダメなのかを見せてほしい。

いやもちろん、 主人公が壁にぶつかって悩み苦しんでるのは描かれてるんだけどね。 ただ、じゃあそれで殺人計画立てて実行するかってゆーと、 オレだったらNOだってこと。
# やっぱノーテンキ?

人を消したいと思うほど恨むとか憎むって経験は普遍的だろうとは思う。 でも、じゃあ *実際に* 人を殺すかつーと、それは普遍的じゃない。 ところがこの主人公は *実際に* 人を殺すという決断をするわけで、 それほどまでに主人公を追い詰めてしまう状況つーのが、 実は観客の誰でもが遭遇しうるものだという説得力がないと、 青春映画としての面白さは半減なんじゃないでしょーか。

ただ、このへんをあまりしっかりやりすぎると、 なかなか本題に入れなくてイライラするとゆー事態にもなるので、 そこのバランスって難しいところだとは思う。 映画だから、時間的な制限も厳しいしねえ。

むーん、原作小説ではそのへんもうちょい丁寧に描いてるのかな?
# 本屋で文庫版を見かけるけど、結構厚みがある

なんてまたケナすよーなことを書いちまってるけど、 基本的に役者さんやスタッフはみんなgood jobだと思ふ。 あえてケチつけるとこを思い出してみれば、 初めのほうでときどき出てくる背景説明用のセリフがいかにも説明的で、 そこらへんではちょい違和感があったけどね。 最後まで見終わった直後とかはそんなの完璧に忘れてるんで、 まー問題ってほどじゃない。

物語は主人公の視点から語られるから、二宮は出ずっぱり。 んで、彼の演技はもう前評判通り、いやーよかったね。 妹役の鈴木杏もよかった。

松浦の出番はあんまし多くなかったけど、この人もいい仕事しました。 無表情だったり不機嫌そうだったりの場面が多くって、まーそれだけだったら アイドルの演技力不足をごまかすときにありがちな演出にも見えちまうんだけどね、 何ヶ所かではビミョーな演技もちゃんとやってたね。

水槽越しに二宮と松浦が見詰め合う場面。 改札口で寄り添う場面。 この二ヶ所はいい雰囲気。 ただ、ラスト直前の、美術部の部室で二人が会話する場面では、 松浦の演技がちょい間違えてるよーな気がしたけど。
# 具体的にどう間違えてるのか忘れちまったぐらいなんで
# あんまし大きな問題じゃなかったかも

ラストは松浦の顔オチ。 これ、なくても実は映画としてはオチるよーな気がする。 ダンプカーを映して終わり、でも良かったはずなんだよね。 にもかかわらず松浦の顔オチにした意図ってのがイマイチ不明。。。 あの表情から何かを読みとるとすれば、 「ワタシたちの気持ちがわかってたまるかコンチクショー!」 ってあたりなんだろうけど、そうだとするとオレ的には「だから?」って感じ。 これは結局、オレが「そうだよね、悔しいよね」って思えるほど 感情移入できなかったのと同じ問題なのかな。

ただ、じゃあ顔オチは失敗かっつーとそうでもなく、 深く考えずに見てると、あれはあれでちゃんとオチになってる。 どういうことかというと、まずカメラのアップに耐える造作であるってこと。 松浦さん本業はアイドルなだけあってルックスばっちり。これ重要。 それから、表情の演技に緊張感がみなぎってて目をひく。 いかにも何かいいたそーな顔をしてて、見てるこっちは目をそらせないんだよね。 で、その表情を心に残したまま映画の余韻を楽しむ段階に突入するわけで、 そのへんは演出意図通りなんでしょーな。
# でも、何を主張してるのかってのを考えはじめると
# 「ん?」ってことになるんだけど

そんなわけで、 映画では全くの新人だというのに顔オチを成立させた松浦はすげえぞ、 と思ったれす。

■ あとがき ■

別に受賞したからってホメてるわけじゃないんだけどね(笑)

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