向井荒太の動物日記 愛犬ロシナンテの災難

最終更新日: 2003/05/17

■ まえがき ■

2001年1月から3ヶ月にわたって放送されたドラマの、その当時に書いた感想。 1話と2話だけ。 3話以降はろくすっぽ見てないような見たような。 脇役の一人としてモーニング娘。の安倍さんが出てました。

わかりにくそうなところや冗長なところを適当に変更。 でも、もうドラマの内容もうろ覚えだから、自分でも部分的に意味不明。。。

■ 1話の感想 ■

浦島教授(根津甚八)が遠藤春菜(安倍なつみ)にチャッピーの手術を断る場面と、 向井荒太(堂本剛)がロシナンテを引き取ることを決意する最後の場面について。

まず、チャッピーの手術が断られる場面。 浦島教授に手術を断られて説教くらったときの春菜の悲しみ方がちょいあっさりしすぎ。 そのため、後ろでもらい泣きしている荒太には違和感をおぼえる。

ふだんはひょうひょうと(ぽーっと?)している荒太をマジ顔で涙ぐませるほどの悲劇、 という説得力がないから、視聴者としてはいまいちノレない。 この場面が最後の場面を感動的に盛り上げるための伏線になっているわけだけど、 伏線としての説得力が弱いから当然ながら最後の場面でも素直に感動できない。

“ロシナンテの主人も亡くなった”というエピソードもあるからには、 “人間にも動物にもいつか死によって別れがくる”ということのつらさを もっとしっかり見せつけた上で、最後の場面にもっていくべきだった。

次に、最後の場面。 荒太がロシナンテをひきとるのを春菜が見てうんうんとうなずくとこでは、 悪いけどオレは爆笑した。

ついさっきまでチャッピー恋しさに泣いてた女の子が男の子を見て 「お、こいついいやつじゃん」 みたいな風情だったので、なんだかやたらと立ち直りが早過ぎに見えたんだよね。

あのうなずきには本来は、荒太のとった行動に共感をおぼえると同時に 春菜自身が励まされるというような意味がこめられたものだったんだろう。 そしてそれがだんだんと荒太への好意に変わっていく、 というのが今後の展開なんだろーけど、、、 安倍のあのうなずきかたでは、その途中経過をぜんぶすっとばしてしまってるわけ。

つーことで総括。 安倍の演技は、本格的な連ドラ初体験のわりには悪くなかったけど、 かといってほめるほどでもなし。 あえて「下手!」とはいわないけれども、ドラマ全体として今回は失敗。 責任は演出ミスと堂本の役作りと安倍の演技が3分の1ずつってとこか。 この一連の場面に人を感動させる力があったとすれば、それは根津甚八の 演技とセリフに負うところ大だろうと思う。

[2001/01頃]

■ 2話の感想 ■

全体としては初回と比べてチグハグなところが減ったぶん良かった。 あくまでも比較の問題だけどさ。 B級感ばりばりなのはもうどうしようもないかな。

堂本剛

「犬が好き」という気持ちだけで獣医の道に入ってきた主人公。 学ぶべきことも多いけど、ひとつひとつ学びつつ周囲にも影響を与えていく。 ってこれジャンプで昔やってた「山下たろーくん」とかの世界だな。

初回では、ふだんはボーっとしてるのに話が盛り上がる場面でいきなり感情を (わかりやすく)あらわにしてて違和感があったけど、 今回はわりと一貫してボーっとしていたので特にひっかかることなく見ることができた。

荒太のキャラは最初から最後まで泰然としてるほうがいいな。 妙なたとえだけど、ゴルゴ13みたいな感じ。 いつも無表情、行動原理が明確で情に流されない。 ところがたまに行動原理から外れるような行動をとることがある。 そのへんの描写には、語らずして語るという「余白」があるのがいい。 それに、熱いキャラより静かなキャラのほうが、 周囲に振り回されるようで実は周囲を感化していくという逆転のおもしろさがあるし。

見てるほうの慣れもあるかも知れないけど、 初回の「これはどうなんだろ」的状況を立てなおしたのは立派。 演出家の違いなのかな? ま、目に見えるのは演じてる役者だけなんで、 演出と役者とどっちのおかげなのかは区別できないね。

安倍なつみ

初回では単に「ペットに死なれたかわいそーな女の子」だったけど、 今回はもう一歩踏み込んで「ペットとの世界に閉じこもっていた女の子」

ペットを介して自分自身とだけ向き合ってきてるからちょい自己中。 友達らしい存在も(体育館の場面を除くと)描かれないところを見ると、 人間の親友はほとんどいないという設定のようだ。 ろくに知らない男に合コンに誘われて、 *ひとりで* のこのこ現れるし。
# ま、ふつーは来ないけどな

悲しげな描写が抑え気味だったのは、これはこれで正解だったと思う。 悲嘆に暮れているというよりはかわいそうな自分にひたってるわけだし、 チャッピーの死んだのは前回のことで、ある程度の時間も経過してるわけだから。 このへんはわりとうまくできてたと思う。 演出と役者と偶然のうちのどれのおかげなのか知らないけど。

安倍の演技は、 肝心なところであれれっと思うとこや稚拙な部分もあるにせよ、 全体としては雰囲気を壊滅的にぶち壊すようなこともなく無難な感じ。 本格的な連ドラ初体験でこれは立派というべきなのだろーか。

まずは「棒読み・無表情・間がとれない」の最低レベルはクリアしてる。 教授にくってかかる画面ではすこし元気よすぎだったり、 悲しいセリフなどでの間のとりかたはワンパターンだったりするけど、 初回にくらべると全然OKだった。 チャッピーの墓の前でみちるに話しかけられてビクっとするとこなんか オレ感心したけどな。

その一つ上のレベルで、場面やストーリーに合わせた芝居の組み立てが おかしいというか、計算を間違ってるところが見られるのが残念。

メイクのせいかライティングが悪いのかなんなのか、 ときどき顔の陰影が不精ヒゲみたいに見えるのが気になった。 もーちょいきれいに撮ってやれよ。

他のキャスト

水野真紀。 なんつっても美人なので、過度に三枚目な役柄にはちょい違和感をおぼえる。 出演者としては二番目にクレジットされてるのに、本筋にどうからむのかよくわからねー。

秋山のキャラは不愉快だ。 能動的に動かない荒太の背中を押す役回りなんだろうってのはわかるけど、 あそこまでバカなやつである必要はないと思う。 うまいへたは別として、演じてる秋山は損だな。

きっと最終回までに荒太に感化されるとこまでの落差を計算してるんだろうな。 しかしオレ的には、いっそ開き直って 「人間だって動物だっていいやつばかりじゃないんだぜ、荒太!」 とでも叫んでくれたほうがおもしろいぞ。

[2001/01頃]

■ あとがき ■

安倍の演技に対するオレの感想ってこの頃からあんまし変わってないんだなあ、、、 「計算を間違ってる」とか。

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